5つの働き方は何が違うのか
違いは「誰が決めた要件を作るのか」と「安定をどこまで会社に預けるのか」の2軸にほぼ集約されます。会社の名前や規模ではなく、この2軸で見ると迷いが減ります。

エンジニアの求人は「SES」「受託開発」「自社開発」「社内SE」「フリーランス」と分類されますが、この呼び名は雇用の形と、仕事がどこから来るかの組み合わせを指しているだけです。同じ「開発をする」でも、要件を決める人が誰か、作ったものにその後も関わるのか、収入が途切れるリスクを誰が負うのかがそれぞれ違います。
まず一覧で押さえておきましょう。
| 働き方 | 働く場所 | 仕事の決まり方 | 技術選定 | 収入 |
|---|---|---|---|---|
| SES | 客先に常駐 | 会社が決める | 客先の指定に従う | 安定。伸ばすには商流を上げる |
| 受託開発 | 自社 | 会社が受注する | 顧客の指定が多い | 安定。PM側に回ると上がる |
| 自社開発 | 自社 | 自社プロダクト一本 | 自分たちで決められる | やや高め。事業の成長次第 |
| 社内SE | 自社(事業会社) | 社内の要望から | 予算の範囲で選べる | 安定。企業規模と役割次第 |
| フリーランス | 案件先/リモート | 自分で選ぶ | 案件による | 高いが不安定。交渉次第 |
表を縦に見ると、SESと受託開発は「他社の要件を作る」点で同じで、違いは客先に出るか自社に持ち帰るかです。自社開発と社内SEは「自社のために作る」点で同じで、違いは作るものが商品か社内の仕組みかです。
フリーランスは雇用の形の話なので、実際にやる仕事はSESや受託に近いことも多くなります。
タイプ別の向き・不向き
それぞれ「何にストレスを感じないか」が違います。得意なことより、苦にならないことで選ぶと長続きします。
SES・客先常駐型
雇用は安定させたまま、いろいろな現場で経験を広げたい
受託開発型
決めた要件と納期のなかで、確実に作り切りたい
自社開発型
同じプロダクトを、長く育てていきたい
社内SE型
開発そのものより、会社の困りごとを解決したい
フリーランス型
自分の裁量で、実力の分だけ受け取りたい
上の診断で1位になったタイプの結果ページには、向いている理由・注意点・年収の目安・次にやることをまとめています。2位との差が小さかった場合は両方を読んでみてください。
実際の求人はきれいに5分類されるわけではなく、「自社開発だがほぼ受託」「社内SEだが内製開発が中心」といった中間も多くあります。
迷ったときの3つの判断軸
「どれが儲かるか」より「どのストレスなら受け入れられるか」で選ぶほうが、結果的に長く働けて年収も伸びます。

軸1:作るものを誰に決めてほしいか
要件が決まった状態から作りたい人は受託開発やSESが合います。逆に「なぜこれを作るのか」から関わりたい人は自社開発や社内SEが向きます。
ここが合っていないと、前者は「仕様が固まらないまま作らされる」と感じ、後者は「言われたものを作るだけ」と感じてしまいます。
軸2:安定と裁量、どちらを多く持ちたいか
雇用の安定と仕事の裁量は、多くの場合トレードオフになります。SESや社内SEは安定が厚く裁量は薄め、フリーランスは裁量が最大で安定は自分持ちです。
どちらが欠けたときに自分がつらくなるかを想像してみると答えが出やすくなります。
軸3:会社にやってもらう部分をどこまで残すか
案件を探す、単価を交渉する、契約書を確認する、税金を計算する——会社員はこれらを会社が引き受けています。フリーランスはその対価として単価が上がりますが、時間と手間は自分持ちです。
この作業が「面倒だが自分でやりたい」と思えるかどうかが、独立の適性としてはいちばん分かりやすい判断材料になります。
経験年数で現実的な選択肢は変わる
適性が高くても、経験年数が足りないと選択肢に入らない働き方があります。特にフリーランスは実務3年が実質的な入口です。

この診断で実務経験を最初に聞いているのは、適性スコアだけでフリーランスを勧めてしまうと危険だからです。エージェント経由の案件は実務3年以上を目安とすることが多く、それ未満だと紹介される案件が限られ、単価も上がりません。
年数の目安はおおよそ次のとおりです。
実務0〜1年
間口の広いSESか受託開発が現実的。まず「一人で担当を任される」状態を目指す
実務1〜3年
自社開発への転職が視野に入る。担当した工程と技術の棚卸しが効いてくる
実務3〜5年
フリーランスも選択肢に。社内SEなど守備範囲を広げる方向も現実的
実務5年以上
どの働き方も選べる。専門性と役割(PM・テックリード)で単価が決まる段階
いま経験が浅くても、選びたい働き方が決まっていれば逆算はできます。自社開発を狙うなら「数字で語れる実績」を、フリーランスを狙うなら「一人で完結した工程」を、いまの現場で意識的に作っていくのが最短ルートです。
経験が浅いうちの書類の作り方は経験が浅い人の書き方ガイドにまとめています。
決めたら職務経歴書に落とし込む
職務経歴書は経歴の記録であると同時に「次はこの働き方に行きたい」という意思表示です。狙う方向によって、強調すべき情報が変わります。
同じ経歴でも、どこにスポットライトを当てるかで書類の印象は変わります。自社開発を狙うなら「担当した機能」ではなく「動かした数字」を、フリーランスを狙うなら担当工程と技術スタックの一覧性を優先します。
SESや受託開発なら、参画したプロジェクトの規模と体制が伝わる書き方が効きます。
このサイトの作成ツールは、担当工程マトリクスや実績欄を備えたテンプレート10種から選んで、ステップ入力するだけでA4のPDFを作れます。診断結果のページにはそのタイプに合うテンプレートを選んだ状態で作成を始めるボタンを置いてあるので、結果を見たらそのまま書類づくりに進めます。
登録不要・無料で、データはブラウザ内にのみ保存されます。
フリーランスを選ぶ場合は、職務経歴書ではなくスキルシート形式が求められることが多くなります。違いと書き方はスキルシートの書き方ガイドを参照してください。
役割そのものを変える方向で迷っている場合はエンジニアのキャリアパス完全ガイドも合わせてどうぞ。
よくある質問
Q.SESは避けたほうがいいという意見を見かけますが、実際はどうですか?
SESという働き方そのものの良し悪しではなく、所属する会社の商流の位置によって年収の伸びや案件の選びやすさに差が出る、という点が語られていることが多いです。一方で、実務未経験から現場に入る間口が広い、短期間でいろいろな業界を経験できる、待機期間中も給与が出るといった利点は確かにあります。判断の分かれ目は働き方の名前ではなく、「その会社が元請けに近い位置にいるか」「案件の希望がどれくらい通るか」「単価が開示されるか」の3点です。診断でSESが1位に出た人も、この3点は面接で必ず確認してください。
Q.未経験からいきなり自社開発に入れますか?
不可能ではありませんが、自社開発は5つのなかで最も競争率が高く、実務未経験の採用枠は限られます。現実的なルートは、SESや受託開発で2〜3年の実務経験を積んでから移る形です。その際、参画した案件で使った技術と担当した工程を記録しておくと、転職時の説得力が大きく変わります。個人開発の成果物を公開しておくのも有効です。
Q.SESと受託開発と派遣は何が違うのですか?
契約の種類が違います。受託開発は「成果物を完成させて納める」請負契約が基本で、自社に持ち帰って開発します。SESは「技術者の労働時間を提供する」準委任契約で、成果物の完成責任は負わず、客先に常駐することが多くなります。派遣は労働者派遣契約で、派遣先が直接指揮命令できる点がSESと決定的に違います(SESでは指揮命令権は自社にあり、客先が直接指示すると偽装請負になります)。
Q.フリーランスになるには何年の経験が必要ですか?
エージェント経由の案件では実務3年以上を目安とすることが多く、1〜2年だと紹介できる案件がかなり限られます。ただし年数そのものより「1人で任せられる範囲がどこまでか」が見られるため、設計から実装・テストまで一通り担当した経験があるかが実質的な基準です。この診断でも、実務経験が短い場合はフリーランスのスコアを下げて表示しています。
Q.診断の回答や結果は保存されますか?
回答内容はブラウザの画面上だけで処理され、サーバーには一切送信されません。結果ページのURLに含まれるのは判定されたタイプ名だけなので、シェアしても回答内容が誰かに伝わることはありません。このサイトの職務経歴書・履歴書の作成ツールも同じ方針で、入力したデータはお使いのブラウザ内にのみ保存されます。