結論:履歴書で「書かなくていい」もの一覧
履歴書は「事実を確認するための書類」。評価に関係しない項目は、書かないほうが読みやすく、書く側の手間も減ります。
履歴書のフォーマットは長らくJIS規格の様式例が基準でしたが、その様式例は2020年に廃止され、2021年に厚生労働省が新しい様式例を公表しました。この改定で性別は任意記載になり、通勤時間・扶養家族・配偶者の欄は削除されています。
つまり「昔の履歴書にあった欄」の多くは、いま書く必要がありません。さらに転職者・エンジニアの履歴書という観点で絞ると、書かなくていいものは次の8つです。

高校の入学・卒業、大学の入学
学歴は「大学卒業」の1行から。採用側が見るのは最終学歴と専攻だけ
証明写真
募集要項や応募フォームで指定がない限り不要。Web応募・オンライン面接が主流
性別
2021年の厚生労働省の様式例から任意記載に。空欄で問題ない
本籍地・国籍
欄そのものが不要。就職差別につながる項目として様式から外されている
扶養家族・配偶者・通勤時間
同じく2021年の様式例で削除。書く欄がない様式を使えばいい
趣味・特技・健康状態・血液型
転職者の履歴書には不要。業務に影響する事情だけ本人希望欄に書く
退職理由の詳細
職歴欄は「一身上の都合により退職」で足りる。理由は面接と職務経歴書で
業務と関係のない資格
英検3級のような級の低い資格や無関係な趣味の資格は絞る。関係する資格だけ書く
このうち迷う人が多い「学歴」と「写真」は、次の2つのセクションで詳しく解説します。残りの項目は、そもそも欄のない様式を使えば悩まずに済みます。
このサイトの履歴書ツールは転職者向けの様式で、 本籍・扶養家族・通勤時間・趣味特技の欄は最初からありません。
学歴は「大学卒業」の1行から始めていい
高校の入学・卒業、大学の入学年月は不要。最終学歴の卒業年月から書けば、採用側が知りたい情報はすべて揃います。

「学歴は中学校卒業から」「高校入学から」という書き方は新卒向けの慣習です。転職では採用側が学歴欄で確認するのは最終学歴と専攻、そして卒業年だけ。
高校の名前や大学に入った年月が合否に影響することはありません。
学歴は、大学の卒業年月の1行から
2013年4月 ○○県立○○高等学校 普通科 入学
2016年3月 ○○県立○○高等学校 普通科 卒業
2016年4月 ○○大学 工学部 情報工学科 入学
2019年3月 ○○大学 工学部 情報工学科 卒業
5行が1行になるぶん、職歴に使える行数が増えます。転職回数が多い人ほど、学歴を削って職歴を省略しないことが大切です。
細かい書き方は次のとおりです。
大学院を出ている
「○○大学大学院 ○○研究科 ○○専攻 修了」の1行。学部の卒業行は書いても書かなくてもよい
専門学校・高専
最終学歴として「○○専門学校 ○○学科 卒業」「○○高等専門学校 ○○学科 卒業」
中退している
「○○大学 ○○学部 中途退学」と正直に。最終学歴は高校卒業になるので、その1行から
学校名は正式名称で
「○○大」「○○高校」と略さず、学部・学科・専攻まで書く。文字数が多くても省略しない
証明写真は指定がない限り不要
募集要項や応募フォームに「写真貼付」の指定がなければ、写真は貼らなくて構いません。指定があるときだけ規定どおりに用意します。

現在の中途採用はWeb応募とPDF提出が主流で、面接もオンラインが珍しくありません。採用側にとって写真は本人確認以上の意味を持たず、 「写真がないから落とす」ということは指定がない限り起きません。
写真館で撮り直す時間と費用は、書類の中身に回すほうが確実に効きます。
写真は、指定がない限り貼らなくていい
指定があったときの要件
サイズ
縦36〜40mm × 横24〜30mm が標準。データ提出ならこの比率に合わせる
撮影時期
3ヶ月以内が目安。極端に若い頃の写真は避ける
服装・背景
無地の背景、上半身正面。エンジニア職ならジャケットやきれいめのシャツで十分
データで出す場合
スマホ撮影でも可。このサイトの履歴書ツールは規定比率への自動トリミングに対応
転職者の履歴書に本当に必要な項目
残るのは「基本情報」「学歴・職歴」「免許・資格」「志望動機・転職理由」「本人希望」の5ブロック。これだけ埋めれば履歴書として成立します。
書かなくていいものを外すと、履歴書に残る項目は驚くほど少なくなります。転職者向けの様式で必要なのは次の5つです。
基本情報
氏名・ふりがな・生年月日(満年齢)・現住所・電話番号・メールアドレス。日付は提出日
学歴・職歴
学歴は大学卒業から、職歴は入社・退職を1行ずつ。最後に「以上」
免許・資格
業務に関係する資格を取得順に正式名称で。勉強中のものは「受験予定」と添えてもよい
志望動機・転職理由
数行で簡潔に。詳細は職務経歴書と面接に任せる
本人希望欄
希望職種・勤務地・入社可能時期など、選考に必要な条件だけを具体的に
エンジニアならではの注意点は連絡先です。メールアドレスは PCで受信でき、名前が分かるものを使い、学生時代のニックネームのアドレスや、退職予定の会社のアドレスは避けます。
GitHubやポートフォリオのURLは履歴書ではなく職務経歴書に載せるほうが、読み手が探しやすくなります。
職歴・資格の書き方
職歴は「事実だけを1行ずつ」。何をしたかは職務経歴書の仕事で、履歴書には在籍の事実だけを書きます。
職歴の行の作り方
会社名は「株式会社」を略さず正式名称で書き、入社と退職をそれぞれ1行にします。退職の行は「一身上の都合により退職」が定型で、理由を書く必要はありません(会社都合なら「会社都合により退職」)。
在職中の会社は退職行の代わりに「現在に至る」を入れ、末尾の行に右寄せで「以上」と書いて締めます。
2023年3月 一身上の都合により退職
2023年4月 株式会社△△ 入社
現在に至る
以上
契約社員や派遣で働いていた期間は「株式会社○○ 契約社員として入社」「○○株式会社に派遣社員として就業」のように雇用形態を添えます。SESで客先常駐していた場合も、履歴書に書くのは雇用契約を結んでいる自社の名前だけで、常駐先は職務経歴書に書きます。
このサイトの履歴書ツールは「以上」や見出しを自動で挿入し、行数が様式に収まるかも確認します。
資格はどこまで書くか
エンジニアの選考で見られるのは「業務に関係する資格」だけです。基本情報技術者・応用情報技術者・AWS認定・LPICのようなIT系資格は正式名称で取得年月順に書き、 級の低い資格や業務と無関係な趣味の資格は思い切って外します。
普通自動車免許は業務で運転する可能性がある職種だけで十分です。資格欄が空になる場合は「特になし」と書けば問題ありません。
2012年8月 普通自動車第一種運転免許 取得
2018年10月 基本情報技術者試験 合格
2020年4月 応用情報技術者試験 合格
2022年3月 AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト 取得
志望動機・転職理由・希望条件はどこまで書くか
履歴書の志望動機は「面接で聞いてもらうための要約」。数行で結論を書き、詳細は職務経歴書と面接に回します。
志望動機は3〜5行で
履歴書の志望動機欄は狭く、長文は読まれません。「なぜこの会社か」を1つ、「自分の経験がどう活きるか」を1つ、この2点を3〜5行にまとめれば十分です。
職務経歴書の自己PRと矛盾しないことが最優先で、どの会社にも使える定型文をそのまま貼るのは避けましょう。
転職理由は前向きに言い換える
転職理由の欄がある様式では、不満をそのまま書かず「次に実現したいこと」に変換します。言い換えの型は面接の定番質問集の「転職理由」で解説しているNG/GOOD例がそのまま使えます。
本人希望欄は「条件」だけを具体的に
「貴社の規定に従います」の一文だけでも間違いではありませんが、 希望職種・勤務地・入社可能時期 のように選考の進め方に関わる条件は具体的に書いたほうが、採用側の手間が減ります。希望年収を書く場合の金額の決め方は 希望年収の決め方 を参考にしてください。
趣味や健康状態をここに書く必要はありません。
作成・提出のマナー(手書き・押印・PDF)
手書き不要・押印不要・PDF提出が現在の標準。「やらなくていいこと」もはっきりさせておきましょう。
手書きは不要
IT業界ではPC作成が標準。手書き指定がある場合だけ従う
押印は不要
現在の様式例に押印欄はない。印鑑を押す必要も欄を作る必要もない
PDFで提出
A4で出力し、ファイル名は「履歴書_氏名_提出日.pdf」のように中身が分かる形に
日付と表記
日付は提出日。西暦・和暦は職務経歴書と揃え、書類全体で統一する
書き上げたら、氏名・生年月日・連絡先の誤字、学歴と職歴の年月の整合、職務経歴書との内容の一致を確認します。とくに在籍期間が職務経歴書とずれているのは最も多いミスなので、2つの書類を並べて見比べてください。
このサイトなら職務経歴書の基本情報と職歴を履歴書に取り込めるため、転記ミスが起きません。仕上がりのイメージは 履歴書の完成サンプル で確認できます。
よくある質問
Q.学歴を大学卒業からにすると「省略した」と思われませんか?
転職者の履歴書では最終学歴だけを書く形が一般的で、採用側が確認したいのは「最終学歴と専攻」「卒業年(年齢の目安)」の2点だけです。高校の入学・卒業や大学の入学年月は評価に影響しません。どうしても不安なら、最終学歴の入学と卒業の2行をセットで書けば十分です。
Q.写真なしで書類選考に落ちることはありますか?
募集要項や応募フォームで写真の提出が指定されているのに添付しない場合は「指示を読んでいない」と受け取られます。指定がなければ影響はありません。現在はWeb応募とオンライン面接が主流で、写真で人物を確認する必要性そのものが下がっています。指定があった場合だけ、規定サイズの写真を用意すれば大丈夫です。
Q.履歴書と職務経歴書で同じことを書く必要はありますか?
役割が違うので、同じ内容を重複させる必要はありません。履歴書は氏名・学歴・職歴・資格といった「事実の確認」、職務経歴書は担当した仕事と成果の「能力のプレゼン」が役割です。志望動機は履歴書に数行で書き、詳しい経歴と実績は職務経歴書に任せる、という分担が読み手にも親切です。
Q.手書きのほうが熱意が伝わると聞きましたが、本当ですか?
IT業界ではPCで作成した履歴書が標準で、手書きが評価につながることはまずありません。むしろPDFで提出するのが普通なので、手書きだとスキャンの手間が増えるだけです。企業側から手書きの指定がある場合だけ従えば十分です。
Q.転職回数が多いのですが、一部の職歴を省略してもいいですか?
職歴の省略はおすすめしません。社会保険や年金の記録、リファレンスチェックで在籍が判明した場合、経歴詐称と判断されて内定取り消しの理由になり得ます。行数が足りないときは学歴側を「大学卒業」の1行に絞り、職歴は入社・退職をすべて書いてください。各社での業務内容は職務経歴書に任せれば行数は収まります。